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社会人になって、『NANA』に出会った
漫画『NANA(ナナ)』に出会ったのは、私が社会人になってからでした。
働き始めたばかりのあの頃。新しい環境、慣れない仕事、そして恋愛。期待と不安がいりまじった毎日のなかで、単行本でこの作品に出会って——気づいたら、すっかり夢中になっていました。
ご存じの方も多いと思いますが、『NANA』は矢沢あいさんの漫画で、2000年から雑誌『Cookie』で連載がスタートした作品です。同じ名前の二人の女の子、大崎ナナと小松奈々(通称ハチ)が、東京で出会い、ともに暮らしながら、恋に、夢に、友情に揺れていく物語。当時の私と同じくらいの年齢の彼女たちの生き方は、まるで自分のことのように胸に迫ってきました。
ただ、作者の矢沢あいさんが体調を崩して連載がお休みになり、物語が途中のまま。いつしか、私もしばらく手に取らなくなっていました。
きっかけは、Huluのアニメだった
そんな私が、なぜまた読み返したのか。きっかけは、動画配信のHuluでNANAのアニメをやっていたこと。
なんとなく見始めたら、当時の気持ちが一気によみがえってきて——「続きが見たい!」と止まらなくなり、気づけばまた単行本を開いていました。やっぱり、何度読んでもおもしろい。でも、おもしろいからこそ、続きがないのが切なくてたまらないんです。
私は、恋する乙女「ハチ」に共感した
二人のナナ。あなたはどちら派でしょうか。
私は断然、ハチ(小松奈々)派でした。
恋に一喜一憂して、好きな人のことで頭がいっぱいになって、悩んだり、揺れたり。そんなハチの姿が、当時の自分とぴったり重なったんです。
一方で、バンドをやっているクールな大崎ナナには、強い憧れがありました。自分の生き方を持っていて、かっこよくて。「私はこんなふうにはなれないな」と思いながらも、だからこそ眩しく見えた。共感するのはハチ、憧れるのはナナ。この二人がいたから、物語にどっぷり入り込めたんだと思います。
ハチとノブ。月明かりの下のあのシーン
ハチをめぐる恋のなかで、私が今でも忘れられないのが、ハチとノブのシーンです。
月明かりの下で、二人が静かに語り合う場面。ハチが「自分なんて本当はたいした人間じゃない、よく思われすぎている」と引け目を感じてしまうのに対して、ノブが、そんな弱さごとハチを受け止めて、そっと抱きしめる——。あの瞬間に、私は心の底からキュンとしてしまいました。
なぜこんなにグッときたのか。少し考えて、自分の恋愛と重なっていたからだと気づきました。
恋愛中って、相手によく思われたくて、つい無理をして自分をよく見せてしまうこと、ありませんか。でも、そうやって好きになってもらっても、それは“本当の自分”とは少し違うから、どこかで戸惑ってしまう。楽しいはずなのに、頑張りすぎて疲れてしまうこともある。
「私、いいイメージで思われすぎてるんじゃないかな」——ハチのあの不安は、まさに当時の私の気持ちそのものでした。だからこそ、そんな自分を丸ごと受け入れてくれるような優しさに、救われるような気持ちになったんです。
ハチとタクミ。静かに手を差し伸べてくれる人
でも、私が選べないのが、もう一組——ハチとタクミです。
タクミは、一見すると冷たそうに見える人。自分からマメに連絡をするタイプではないけれど、ハチが本当に困った時には、ちゃんと手を差し伸べてくれる。必要な時には、そばにいてくれる。
恋愛に対していいことばかりを並べるのではなく、相手を客観的に見つめたうえで、ハチのずるいところや弱いところも含めて受け入れてくれている気がするんです。過剰な期待はしないけれど、いざという時には支えてくれる。「あんまり構ってやれないけど、苦労はさせない」——そんなタクミなりの精一杯の愛情が、ふとした言葉のはしばしから伝わってきて、私はそこが好きでした。
ノブのまっすぐな包容力と、タクミの静かな包容力。タイプは違うけれど、どちらもハチを大切に思っているのが伝わってきて、本当に、どっちも選べないんです。
続きが読みたい。矢沢あい先生の復帰を願って
改めて読み返したら、やっぱりまた、続きが読みたくてたまらなくなってしまいました。
調べてみると、単行本は21巻まで。そのあと雑誌『Cookie』に続きが数話だけ載ったものの、単行本にまとまる前に休載に入ってしまったそうです。「その『Cookie』を読みたい」と思って探してみたら、フリマアプリではプレミア価格で取引されていて、とても手が出る金額ではありませんでした。
それでも、やっぱり気になってしまう。ハチやナナ、ノブやタクミのその後を、どうしても知りたい。社会人になりたてだった私も、今ではすっかり40代。それでも、この作品への気持ちは当時のまま変わりません。
矢沢あい先生のご復帰を願って。 いつか続きが読める日を、ずっと楽しみに待っています。
もし読んだことがある方なら、あなたはハチ派? ナナ派? そして、ノブ派ですか、タクミ派ですか。よかったら、あなたの“NANA愛”も聞かせてください。



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