「あの人の人生、うらやましいな」って思ったこと、ありませんか?
大企業に勤める旦那さん、立派に育った子どもたち、素敵な仕事、美人で性格もいい——周りから見たら「いい人生」なはずなのに、本人はどこか満たされない。そんな女性たちの物語、原田ひ香さんの『始まらないティータイム』を読みました。
図書館で偶然出会った一冊
もともと原田ひ香さんの「ランチ酒」シリーズが好きで、他の作品も読んでみたいなと思っていた私。図書館に行ったときに、この本を見つけて借りてきました。第34回すばる文学賞を受賞した作品だそうです。
満たされない心を抱えた、4人の女性たち
主人公は4人の女性。
一人目は、大企業の重役の旦那さんがいて、娘たちも立派に育て上げた高齢の女性。周りから見たら憧れの人生なのに、何か物足りなさを感じています。
二人目はその娘さん。結婚もして、自分もしっかり働いていて、傍から見れば素敵な生活。でも子どもに恵まれなかったり、心のどこかに虚しさを抱えています。
三人目は、美人で性格もいいのに、旦那さんの浮気で離婚を経験した女性。周りからは「素敵な人」と思われているけれど、心の隙間を埋められず、秘密の趣味を持っています。
四人目は、既婚男性と関係を持ち、子どもを授かって再婚した女性。結婚式も挙げ、新居も構えたはずなのに、満たされない気持ちを抱えています。
4人とも、周りから見れば「いい人生」に見えるかもしれません。でも誰もが心の中に、満たされないものを抱えている——。
私も、同じ気持ちになったことがある
読みながら、すごく共感してしまいました。私も女性だから、周りの人と自分を比べて「こういうところが足りないな」って劣等感を抱くことがあります。自分がうまくいっていないときは、周りの人がすごく幸せそうに見えて羨ましくなることも。「あの時、この人生以外を選んでいたらどうなっていたんだろう」って考えることも。
誰にでもあることだと思います。だからこそ、この4人の物語が、自分の身近な話のように感じられました。
ページをめくる手が止まらない
読み始めたら、どんどん物語に引き込まれて、この先どうなるんだろうとページをめくる手が止まりませんでした。原田ひ香さんの作品は、女性の心情がすごくリアルに書かれていて、自分がその女性になったかのような体験ができます。
本の良さって、今生きている人生以外の、他の人物の人生を経験できることだと思います。
タイトルの意味
「始まらないティータイム」というタイトル。読み進めていくと、この言葉に込められた意味が少しずつ見えてきます。物語の終盤、4人の女性たちがそれぞれの人生を見つめ直すきっかけとなる場面が描かれていて、そこにタイトルの意味が重なってきます。詳しくは伏せますが、読み終えたときに「あ、こういうことだったんだ」と静かに腑に落ちる感覚がありました。
はっきりした結末が描かれるわけではなく、読者の想像に委ねるような、含みを持たせた終わり方です。続きがすごく気になったのですが、残念ながら続編は出ていません。自分で考えるしかない分、読んだ後もずっと考えさせられる小説でした。
車検の待ち時間から、お風呂での一気読みまで
最初にこの本を開いたのは、車検の見積もりを待っている時間でした。図書館で借りたものの、なかなか読む時間が取れなくて、待ち時間に持って行ったんです。でも読み始めたら先が気になって、「もっと時間がかかればいいのに」と思うくらい。結局、途中で時間切れになってしまいました。
それから家のことや他の用事に追われて、なかなか時間が取れず。最後は夜、お風呂に浸かりながら一気に読み終えました。
忙しい毎日の中でも、本を開いてみてほしい
いつも本を読みたいと思うのに、日々の雑務に追われて、なかなか時間を作れずにいます。それでも本を読むと、テレビや漫画とはまた違う、深い感情が心の中に生まれる気がします。
目の前の生活に追われている毎日だけれど、他の人生を追体験することで、また改めて今の生活と向き合えるような気がします。本を読むことは、人生を豊かにすることだと思います。
みなさんも、やることがたくさんあって忙しい毎日だと思いますが、数ページずつでもいいので、空き時間を見つけて本を読んでみてください。忙しい日常から少し離れて違う世界を見ると、心が穏やかな気持ちになると思います。



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